この教科書、というか固体物理学の文献とは、現象論の立て方のノウハウの貯蔵庫みたいだなあ、ということを読んでて思った。
1、Drude theory
理論が正当でないことはすでに語られているが、個人的に思ったことをいくつか。
・仮説とそのチェックについての一般論:ある現象を説明する仮説を立てるとき、最初に課した要請と反するようなnontrivialな計算結果が得られたら、その仮説は破棄されなければならない。研究活動においてはそのようなチェックを自分で行わなければならない。Drude theoryにおいては、考えてる現象の描像が、「ひしめき合う剛体の間を、ぶつかりながらまっすぐ進む電子」というものなので、平均自由行程がÅのオーダーを越えた時点で、うまく行っていない、ということになる。
・仮説を立てるときのモチベーション:何を語りたいか、ということを大事にしなければならない。Drude theoryの4つの仮定のうち、第4のそれは、固体の各サイト周りに局所的熱浴を用意するようなもので、当然のごとくエネルギー保存法則には抵触する。そんな仮説立てちゃっていいの?と思えるが、しかし、この理論で見たいのは、電流、熱流などの流れなのである。流れ自体を考えるときはエネルギー保存は重要ではない、と思う。それらの流れが起こる機構が、仮定から説明でき、立式できる。それで十分だ。
2、Sommerfeld theory
排他律だけを反映させてみました。こっちのほうが精度がいいのは、金属固体特有の事情(電子密度が大きい)によります。r_sとかE_fとかの典型値のイメージをつけておくのは重要だな。