さて、読み始めましたJJSakurai。まだ全然理解は深まってないんですが、端的に言って非常に楽しい本です。特に本人の集めた演習問題は非常に深読みの余地がある、味わい深いものになっています。
本トピックではこの教科書の本文および演習問題について思うことをつらつらと書き連ねていきます。
本文
1-1―1-5
要約:シュテルンゲルラッハの実験(以下SG)が自然に理解されるような理論を構築しよう。
理論の枠組みとしてヒルベルト空間とそこに作用する自己共役演算子を用いるというのは様々な本と共通することです。ただ波動力学からの定式化でない所が特色。同様のスタイルの定式化を行っている教科書としては清水明の量子論があります。
ここまでの議論は様々な教科書でよく語られてきた議論という印象です。ただ理論の組み立てのスタート地点をSG実験に対する考察に置いている点がユニークです。個人的に光学のアナロジーのくだりは別になくてもいいかなあという気がしますが、自然な思い付きを元に定式化をしていく為には、こういう考え方というか、姿勢が必要なんでしょう。既知の現象にアナロジーを求めるという姿勢は様々な現象論の定式化に際して非常に重要だと思うので、こういう思考過程の訓練の必要性を感じます。
演習問題1章
この上巻の演習問題は、JJサクライ自身によって蒐集されたものだけあって、なかなか『深い』です。そこで各問題の意義などについて、僕が勝手に「こういうことじゃねえかなあ」と考えたことを書いていきます。トリビアルだろうがなんだろうが好き勝手書いていきます。
1、交換関係を展開する方法は色々あります。これは反交換関係を用いて展開する方法。他にも色々展開の方法はありそう。(やってないけど)
2、この問題はなかなかニクい。問題文には行列Xはエルミート、ユニタリであるとは限らないと書かれていますが、実際はこの形は2×2 C上エルミート行列の一般形を与えています。要は、一般のエルミート行列を恒等演算子とパウリ行列の線形和で表すメソッドを思いつかせる為の問題なんでしょう。この問題の結果は後々重要な意味を持つことになります。
7, ブラケット代数を用いれば射影演算子は簡単に構成できるが、オブザバブルの多項式として構成できるかは非自明であった。この問題は、どんなオブザバブルに関してもどれかの固有値に対応する固有空間への射影が ”演算子の多項式によって” 構成できることを示しています。
つづく